なめてた。育休明け、仕事できなさすぎるわ。
もー、2か月前の、謎の自信に満ちてた自分をひっぱたいてやりたい。穴があったら入りたい……。
でも2回目の育休復帰だよね? ワーママ時代を知ってるからこそ、「できるはず」って思えたんじゃないの?
そう……しかも私、短期間ながらワーママ管理職もやってまして……だから、今度はもっとうまくできるはず! って思っちゃったんですよね。
でも、そうは問屋が卸さなかったのです……!
この記事を読んでくださっている方の中には、「だれかの失敗談が読みたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
失敗しているのは私だけじゃない、と、慰められたい時って、ありますよね。
安心してください。ここにありますよ!(とにかく明るい安村風)
では行ってみましょう。その先に、共感と対策法があることを祈って……!
- 7歳・2歳の母
- 2024年春よりタイ在住
- 元大手企業勤務・時短で管理職経験あり
他人の失敗談、ここにあります
私の仕事は、IT系のものづくりです。
といってもプログラムを書くことはできないので、技術チーム・制作チームをまとめて企画をモノにしていく仕事をしています。
まず、私は以下の記事に書いた通り、「ルーティンゾーン」か「ワーママが得意なゾーン」の仕事をもらおうとしていました。
今回、あるPJの末端として参加し(この認識がそもそも誤解だった)、チームの責任者O(オー)氏が、同じ職種である私・Fさんへ業務を振り分けました。
業務自体は何度もやったことがあるものでした。この時、私は「納期”短”かつ責任”軽”の仕事がキターー」と思っていたんですね。
でも、それが間違いだったのです。この縦軸:責任、横軸:納期の他に、考慮に入れなければいけない第三の軸がありました。それは……
【難易度】だよ……!
ドラクエしてわかった。「複雑じゃねェか…!」
簡単だと思われたタスク。しかし、あとからあとから、「これは単純な問題じゃないぞ」と青ざめてきました。
実は、単純タスクの中に、頭を使って考えなきゃいけないタスクも紛れ込んでいて、その影響範囲が社内の複数PJ&社外に及ぶことがわかったのです。
「早くスケジュール組んでよ」とイラつかれる
聞いていた話とはだいぶ違って戸惑っている中、技術・制作チームは私に聞けばなんでもわかるとと思い込んでおり(のちにわかることですが、育休中に私の職種は「そういう役割」になっていたのでした)、ものすごい量の課題リストを提示されました。
挙句、「とにかくなんでもいいからスケジュールだけ早く出せ(意訳)」と方々から詰められることに。
ヒィィ、スケジュールも出てなかったなんて申し訳ない……それは気になるよね……でも、スケジュールを私が組まなきゃいけない認識なんてなかったんだよ……!
私はただでさえ軽い頭をさらにヘコヘコさせて、急いでスケジュールを作ったのでした。
鬼の子だし連絡を頂戴する
スケジュールを作り、技術・制作チームも回り始めたころ。
どうやら他PJで対応中の案件にも、私が担当している案件のタスクが発生することがわかりました。
比較的簡単な対応だったため、各PJで対応していただきたいと頭出しをした矢先、同じ職種のS氏からチャット連絡が。
まみさんの案件って、スケジュールどうなってます?
ありますよー、こちらです!(秒で返信)
それってテストはどうなりますか?
なんでそんなこと気にするんだろ?と思いつつ、
まだ詳細詰められてませんが、こんな日程で行う予定です
と送ると、
誰がやるんです?
ここまできて、ようやく、「S氏が担当するPJの人員が、私の案件に駆り出されるのを懸念している」と理解しました。
回りくどいな…?
私は核心を一気に突かれても気にしない性格です。なので、この、外堀を埋めるようなコミュニケーションは彼なりの【やさしさ】なんだと思い、
ポテン(ヒット)になる恐れがあるのと、SさんのPJからリソースもってかれちゃ困るよ、と理解したんですが、合ってます?
と単刀直入に聞きました。
この時、私は相当にイライラしていました。
でも、人には人のやり方があり、コミュニケーションの取り方があり、処世術がある。私とは合わないけど、こういう人もいるんだ、と学びました。
コミュニケーションの取り方に優劣はないからね。ただ合わないだけで。誰も悪くない。
「これ、誰がやったの?」「私です……」
責任者O氏から仕事を振られたときに気づけば良かったのですが、指示内容にブレがあったり、仕様があいまいだったりしていたのに、そのまま進めてしまったのです。
あとになってから「あれ?」「おかしいな?」と、私はもちろん、O氏も気づき始めました。
この頃、Fさんは他の案件にかかりっきりでこちらの案件にノータッチ状態だったので(それもどうなの)、
ここ、違うかも?
すみません、直します……
上記の連続。しかも、私も後になって振り返れば、違うなッ!とわかったのに、なぜあの時そう判断できなかったのか、それがわからない……。
(バタバタですが)ようやく回り始めた
そんなこんなで、出だしから失敗している本案件ですが、いま、なんとか(綱渡りで)回り始めています。
もちろん、もろもろカッチリ決まっている訳じゃないので、走りながら疑問・質問・課題・これどーなってんの!!!という声が矢継ぎ早に私の下に集まりますが、もーしょうがないよね。
「ごめんなさい」して仕事が進むならそれでいいよ…!
とにかく、案件自体は進んでいるのであります。
失敗に対する考察
なぜ、こんなにボロボロの状態になってしまったか。思うに、3つの要因があると思います。
当初の見立てが甘かった
2回目の育休復帰ということで、責任”軽”かつ納期”短”の「ルーティンゾーン」をこなすつもりで、今回受けた案件もそれだと思い込んでいました。
でも、実は複雑な案件だったのです。
私は、疑問が消えるまで、とことんO氏に質問するべきでした。
でも、「忙しいかな」「O氏のことだから、これくらいわかってるよね」と勝手に自己解決して、確認しなかった。そのせいで、間違えるわ、進まないわで、バタバタしてしまった。
この【自己解決】は、私が陥りやすい思考なんだな、と今回の一件でわかりました。
以後、「自己解決によりミスする」が、一つの命題になってきます。
1年3か月のブランクは大きかった
育休を2年取る方もいらっしゃるし、現に息子は3月生まれ=早生まれなので、1歳児クラスに入園できなかったらもう1年延長するつもりでした。
だから、自分の中では1年3か月での復帰は、「早い」と思っていました。
「早い」からといって優位な訳じゃなかった、全然。
1年3か月だろうが1か月だろうが、変わる時は一気に変わります。私がいない間に、
- 業務システム
- 組織・チーム・人員
- 私の職種の役割
- 業務の進め方
これらすべてが変わっていて、それがわからなかった。
O氏やFさんは、私を「当然わかっているだろう」という目線で見ている。まったく初めての部署じゃないんだから、と。
でも、私にとっては「人事異動した」並みの変貌ぶりでした。進め方が、まったく、わからない。それで、詰められる。
地獄よ……ッ!
もちろん、上長はその時フォローしてくれましたが、「私は新人のつもりで謙虚に・聞きまくらないとダメだな」と感じました。
そして、「なんでこんな判断したんだろ?」って自分でもわからないような判断をしてしまう。あとから考えればわかるのに。
あとから考えればわかる。それは、「勘が戻ってきている」からなんだと思います。
私の能力が恒久的に後退している訳ではなく、一時的なものなんだと思いたい…!
ちなみに、「なんでこんな判断したんだろ?」というのは、自分の中で「こうだ!」と(斜めの方向に)解決しちゃってるからなんですね。
ここで「疑問に思う」「質問する」感覚がまったく失われていた。
ここでも【自己解決】がキーワード。きっと前のままだろう、と思っちゃダメ。
育休中は「非資本主義」かつ「受け取る側」
私が大好きで(一方的に慕っている)尾石晴さんがvoicyでご紹介されていた、「主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら」。
その時のvoicyタイトルを以下に引用します。
専業主婦の世界は非資本主義
尾石晴,『学びの引き出しはるラジオ』,# 1246
このタイトルを見た時、私は新しい観点に触れて、改めて自分のいる世界を眺めてみました。
私は1年3か月間、資本主義とは違うところで生きてきた、ということになるのか。それでは、はて、「資本主義」とは?
生産手段を資本として私有する資本家が、自己の労働力以外に売るものを持たない労働者から労働力を商品として買い、それを上回る価値を持つ商品を生産して利潤を得る経済構造。
小学館,デジタル大辞泉
なるほど確かに、私に資本はないし、この1年3か月間、労働力の提供もしていないのでした。
思えば、妊婦健診、出産、入院、保健師訪問、児童館、赤ちゃん用品の買い出し。そこには損得勘定はなく、資本主義外の世界が拡がっていました。それが「福祉」というものです。
私は福祉の中にいた、そしてそれは、とても心強く、幸せな空間でした。
翻って、私はいま、仕事に復帰しました。私の仕事はサービスをつくること、つまり「受け取る側」から「作る側」に立場が変わったのです。
サービスを受け取る側は楽だった、無理する必要がなかった、だっておカネを払っているから。
サービスを作ってお金を受け取る、これは、ユーザーにも会社にも責任が発生する。だから苦しい、つらい。
その「責任」から逃れたいと思ったことが何度もある、だけど、おカネをもらうということは、責任を負うということ。ここからは、絶対に、天地がひっくり返っても、逃れることはできないのです。
これに気が付くと、「育休明けつらい」=「当たり前」と腹落ちして、「きっと私だけじゃない」と思えるようになりました。
私はどうすればよかったのか
新人のつもりでOK
多分なんですけど、もっといろいろ聞けばよかった。んだと思います。
「忙しいかな」とか、「私もうベテランだし」とか、思っちゃダメです。聞いていいんです。あなたが気に病むくらいなら、相手にドンドン質問しちゃっていい。
私も「人事異動したってくらい訳わからないです」と上長に伝えました。
うちの会社は忙しく、こんなこと言ってもちっとも気にかけてくれませんでしたが。
余談ですが、弊社はメガベンチャーで働きやすそうに見えますが、その実、働き方がオトコ中心のやり方です。
この辺りのジェンダーだったりフェミニズムだったりの議題については、また別途記事を書きたい…!
それでも私の中では、言葉にしたことによって「間違えたっていい。だって知らないもん。立ち止まるよりはいい」というメンタルを手に入れることができました。
育休復帰は「孤独」
あとは、根本的に、「歓迎されている」とは思わないことですね(辛辣)。
他社に勤めるワーママさんからも「ほんとにヒドイ」「みんな冷たい」という声を聞きました…!
これについては以前記事にもしています。
基本的に、会社の人は私に興味ないんです。だから、育休明けが本人にとってどれほど重大なイベントかなんて、どうでもいい。
彼らはそんなことに構ってられないくらい、忙しいのです。それもまた、かわいそうな話でしょ。
そして私たちは、今まで資本主義の外側にいたのです。
新人の頃を思い出してください。ビジネスのいろはを知って、カルチャーショックでしたよね? 今の私たちはあの頃と同じです。
非常にフレッシュな状態ってこと…?(違う)
だから、あまり期待しすぎない。私たちはマイノリティ、孤独でも大丈夫、みんなも同じ。
そう考えると、心が軽くなりませんか。
もちろん私は「これでいい」とは思っていません。これから、育休復帰者が働きやすい環境とは何か、考え続けていくつもり。
あなたはダメなんかじゃないよ
育休明けからバンバン仕事ができる、あわよくば昇級なんてしちゃう……その夢物語は、一旦脇に置きましょう。
もちろん、成果を出してるワーママさんもいらっしゃいます。みなさん本当に素晴らしいと思います。
でも、他人を気にして自分が病んでしまっては、元も子もないですよね。
あなたの人生。あなたのペースでいい。
徐々に慣れていけばいいのです。仕事を辞めるのは、あと1日待ってみよう、1週間待ってみよう、1か月待ってみよう……その繰り返しで、気づいたら乗り越えてます、きっと。
一緒にワーママ生活をサバイブしましょうね…!